お寺の住職

日本的なマインドフルネス

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はじめに

今回は日本的なマインドフルネスというテーマで進めていきたいと思います。
そして、このコラムの最終回となります。頑張りました。
さて、私の手元に曹洞宗国際センター所長 藤田一照先生が書かれた「『日本のマインドフルネス』に向って」という関西学院大学人間福祉学部研究会に掲載された論文があります。その中には仏教文脈、科学的文脈・医療的文脈、ビジネス文脈のマインドフルネスなど現在のマインドフルネス形成されてきた経緯、そして現在のマインドフルネス形になった問題点そして、今後の展望がよく示されています。
藤田先生はアメリカ、マサチューセッツ州のヴァレー僧堂に長い間滞在されていた経験から、ジョン・カバット・ジン氏が医療的マインドフルネスを推進していったプロセスをよくご存知です。そして、ティクナットハン師とも親交があり、仏教的文脈におけるマインドフルネスの両方をよく理解されている先生です。
最終回は私達日本人が今逆輸入されつつあるマインドフルネスをどう受容するか?
先生の論文と私自身の経験を踏まえ今回のテーマを考察してみたいと思います。

インターナショナルな流れ

今世界ではマインドフルネスはブームになっています。日本でも最近各種メディアで取り上げる様になってきていて認知度は上がっていますがまだまだといったところでしょう。
今年、私はアメリカに今年二度ほど渡り、肌で今のマインドフルネスの現状を触れてきました。
ジョン・カバット・ジン氏が1979年に医療・治療としてマインドフルネスを取り入れたプログラムである、マインドフルネスストレス逓減法(Mindfulness Based Stress Reduction, MBSR)のプログラムを受講してきました。
そのプログラムはアメリカの方はもちろんのこと、本当にいろいろな国の方が参加していました。日本、韓国、台湾、アメリカ、フランス、ドイツ、フィンランド、スペイン、アフリカ、オーストラリア、カナダなど他にもいろいろな国から参加されていました。そして、職業も参加の理由もいろいろです。医者、ソーシャルワーカー、心理士、ビジネスパーソン、いろいろなセラピスト、フィジィオ(フィジシャン)その他にも自分自身の治療、ストレスを減らしたいなど、本当にいろいろな理由で参加しています。そして、7月に参加したプログラムは200名ほど参加していました。
それぞれの国の人はマインドフルネスを自分の国に持ち帰り広める活動をしたいと話していました。そしれ、欧米では私達が思っている以上にマインドフルネスは浸透していて、インターナショナルな広がりを見せています。

アメリカでのエピソードをいくつか紹介しておきたいと思います。
アメリカでタクシーに乗った時、運転手さんに
「何の目的でアメリカに来たのですか?」と尋ねられたので
「マインドフルネスのプログラムを受けに来たんです。マインドフルネス知っていますか?」聞いたら
「ああ、マインドフルネスね毎日僕もやっているよ!心が安定するしいいよね。」
タクシーの運転手の方からサラリと返事が返ってきたのには驚きでした。
それほど、アメリカやヨーロッパではポピュラーなものになりつつあります。
さて、次のエピソードは今年二月にプログラムを受講した時の事です。
マインドフルネスのクラスを受けている時、マインドフルネスの先生の一人とお話しする機会がありました。その中で印象に残るやり取りがありました。
先生は以下のように言っていました
「君たちは日本からなぜ、わざわざアメリカに来たのですか?禅があるのに?」
「日本にはMBSRはないからきました。禅はありますが、体系化されたMBSRのコースは日本ではほとんど受けることが出来ないからです。」と答えました。
「元々日本には禅の文化があり、私は昔、岡山県にあるお寺にわざわざ行って禅の修行をしたことがあるんだ。そして、ジョン(ジョン・カバット・ジン氏)も同じように東洋で学び西洋に持ち帰った。そして、それらを体系化した。今度は、またそれを東洋人が勉強して持って帰ろうとしている。興味深い話だね!」と言っていました。
アメリカのマインドフルネスを体験してみて、私自身の実感としては自分たちの文化そして、他の国の文化いろいろなものを見て勉強して必要な部分は取り入れ私達の文化が元々大切にしている要素も充分に生かし、今の時代に合った形での日本的なマインドフルネスを考えるべきなのだと思っています。
藤田先生はそれを、neo-mindfulness・mindfulness 2.0と言った形でアップデートできないかと提唱されています。

日本人としてのマインドフルネス

私達日本人は元々、仏教の文化、禅の文化が色濃く残っている中で生きています。いわゆる道ごと、茶道、香道、弓道、書道、柔道、合気道、武士道数え上げればきりがないぐらい日本の中には道ごとがあります。それらはマインドフルネスの要素が色濃く入っているといっていいでしょう。そして、それらの道ごとはすべて、仏教、禅の影響を受け日本の文化の中で独自に発展してきています。今世界のマインドフルネスの流れを見る時、私達はもう一度自分たちの足元、我々のご先祖が残してくれた東洋的な文化を見つめなおす必要があるように思います。
そして、道ごとには「型」というものがあります。あまり、言葉で教えるのではなく型に一度押し込めその中で自ら気づくシステムを昔の人たちは作り上げていました。そして、自分自身の経験・実体験から形に気づきそしてその型を破り自分自身の道を切り開く様にできていました。守・破・離と言われるような気づきのプロセス・自己成長の段階と考えてきました。
型を徹底的に覚えることにより型を破ることが初めてできるのでしょう。それが型破りと言った日本の言葉として残っています。そして、昆虫が蛹から成虫に変態するように大きく形を変え自分自身の本来の目的に自由につながることができる力を手に出来る様になるのだと思います。
しかしながら、現在その型のシステムは形骸化している部分が多くあるという事も忘れてはいけません。そのため私は海外の構造化し科学的に効果を実証したマインドフルネスをよく勉強し、そして日本文化にあるものにもう一度立ち返り日本的なマインドフルネスを再々構築し直し世界に発信することが必要なのだろうと思います。「新しい型」を作ることが必要なのでしょう
最後になりますが、先日マインドフルネスセンターのクラスに初めてお坊さんがお越しになりました。日本の禅僧の方もマインドフルネスを実践しに来るようになったのだなあ感じました。その方は伝統的な禅のトレーニングは形骸化している部分があるので西洋的な洗練されたマインドフルネスの手法を勉強し伝統的修行の中に取り入れていきたいとおっしゃっておりました。一緒に協力していきたいというありがたいお話しもできました。
今、私たちセンターで行っているマインドフルネスは医療的マインドフルネスと言われるものです。
それを、伝統的な日本の禅の文化、道事とうまく融合していけたらとすべての皆さんにとって一助になるのではないかと思います。
今回はこの辺りで失礼します。
いままでお読みいただきありがとうございました。
読者の皆様に感謝いたします。
長谷川洋介
googleやゴールドマン・サックスなどの一流企業が続々導入し、アメリカでは一般市民レベルで大きな飛躍を見せている「マインドフルネス」。
一過性のブームではなく、現代人老若男女問わず必要とされるものとして認知されています。
科学的にもその効果が証明されており、ますます今後広がっていくと考えられます。
BASIピラティスはマインドフルムーブメントにフォーカスしたクラスを行うピラティス専門スタジオです。
BASIピラティス HP:basipilates.jp

<ライター>

長谷川 洋介uid000001_2014011323060468f6bfd0
医療法人和楽会 ヨーガ講師。東京マインドフルネスセンターにて指導。
法政大学卒業。2006年ヨーガを始める。
「マインドフルネスは今を大切に生ききることです。そして、マインドフルネスは生活の中で実践していくことがとても重要です。センターではヨーガやメディテーション等を通じ今に意識を向け、いろいろな気づきを得る練習をします。マインドフルネスを皆さんと一緒に実践し心と体を調えていきましょう。」
(社)ヨーガ療法学会 ヨーガ講師養成講座修了
東洋鍼灸専門学校卒業
鍼灸師(国家資格)
あんまマッサージ指圧師(国家資格)
ジョン・カバットジン博士「MBSRワークショップ」修了
介護予防運動指導員

 

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